インタビュー企画第10回 特定非営利活動法人かものはしプロジェクト共同代表 村田早耶香さん後編

インタビュー企画第10回 
特定非営利活動法人かものはしプロジェクト共同代表 村田早耶香さん後編

 

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<村田早耶香さんプロフィール>
東京都調布市出身。
フェリス女学院大学国際交流学部卒業。
特定非営利活動法人かものはしプロジェクト共同代表。

 

~はじめに~

『子どもが売られない世界を作る。』
特定非営利活動法人かものはしプロジェクトは、
子どもがだまされて売られてしまう問題を解決するために、
2002年に設立されました。

①子どもを買う人を取り締まる
②大人に仕事を、子どもに教育を
③売られてしまいそうな子どもを保護する

子どもを守るこの三つの取り組みを行うため、
サポーターからの協力を得て、
カンボジア、インドで支援活動を進めていらっしゃいます。
今回のインタビューでは、共同代表 村田早耶香さんに、
設立の経緯、それからの13年の取り組みについて、貴重なお話を聞く機会を頂きました。

かものはしプロジェクトさんのWEBサイト
http://www.kamonohashi-project.net/

 

 

<村田早耶香さんインタビュー 後編>

後編ではプロジェクト立ち上げからの活動内容について
詳しくお聞きしたいと思います。

かものはしプロジェクト立ち上げ当初、子どもの人身売買が酷かったのがカンボジアでした。
ですからまずそこでの現地調査を行いました。カンボジアでの現地調査では内戦後に5、6歳の子どもまで被害に合っている現状がわかり、カンボジアでの活動を決めました。

児童労働のなかでも最悪の形態の児童労働と言われているのが児童買春問題です。
子どもは家庭の貧困を主な理由に、騙されて売春宿に売られてしまいます。
暗くて狭い売春宿の奥に閉じ込められた子どもを、誰かが救おうとアクションを起こさなければ、
その子たちはなかなかそこから出られないのです。
子どもの身を守る為には親が手に職をつけて自立することが大切だと考え、コミュニティファクトリーを立ち上げ、職業訓練のサポートも行いました。
カンボジアの天然素材である、い草やココナッツの葉を使った生活雑貨を作り、それを販売しています。持続可能なビジネスを成立させることで貧困から抜け出し、子どもが売られずに生活できるように支援しています。

そして、カンボジアで一番の問題だったのは、人身売買を取り締まるはずの警察が、取り締まりを行えていなかったことでした。かものはしプロジェクトでは警察が法律や取り締まりの仕方を勉強したり訓練したりするサポートをし、その結果、子どもを買う人の摘発数は伸びて行きました。

 

 現在ではカンボジアだけでなく、インドにも活動の場を広げたと資料で拝見しました。それはカンボジアでの被害者が減少傾向へ向かったことが大きかったのでしょうか?

 

そうですね。活動をはじめて10年以上がたった現在、カンボジアでは子どもが人身売買の被害に遭う事は少なくなっています。一時は保護される子どもで施設の定員がオーバーするほどでしたので、改善に向かっている事を実感しています。

 

インドでの支援とカンボジアでの支援になにか違いはありますか?
人身売買の起こる原因にも違いがあるのでしょうか?

 

先ほど申し上げた通り、カンボジアでは警察が取り締まりをできていなかったことが大きな原因でした。
インドでは、子どもを村から人身売買した人が裁判で有罪にならないという問題がありました。特に、人身売買が多発している州で刑事司法制度が機能していないことが多く、それ故に人身売買に加担した人間を裁く事ができないのが問題だったのです。

ですからインドでは現在、裁判の支援をする活動を行っています。
具体的には被害にあった子ども・女性の中で戦う意思のある人達が、裁判で戦えるようにサポートをしています。裁判で勝てるかどうかはケースバイケースですが、被害者が泣き寝入りをするしかなかった状況を変えるために、戦う意思のある被害者が声を上げて裁判で戦えるように支援をすることは重要です。

人身売買にはルートがあるんですが、今は被害者が一番売られてきているマハラシュトラ州と、被害者を多数出している西ベンガル州で活動しています。西ベンガル州では、人を騙して売春宿に売った加害者に、裁判でほとんど有罪が出ていない地域もあります。有罪にならないので、「人を売ったもの勝ち」というひどい状況になってしまいます。

ですからここで罪を犯したらきちんと罰せられる、裁かれるという状態を作らなければ、抑止力は働かないのです。
逆に言えば人身売買の多いこの地域で罪を犯した人を罰することができれば、抑止力が働き、こういった犯罪を犯す人は減って行きます。

また、インドは「インド人自身の力で国を変えていきたい」という自立心が強いという特徴があるので、インド国内の団体を応援するという形で活動をしないとうまくいかなくなること多いと感じています。ですので、インドの人達と一緒に変えて行く事が重要だと考えています。

 

かものはしプロジェクトさんに寄付をしたお金は、具体的にどんなふうに使われるのでしょうか?活動内容ももう少し伺いたいです。

 

インドは、6つの現地パートナー団体と一緒に活動をしています。活動の戦略を考えることも一緒に行っています。
現在の活動は、被害者が人生を取り戻し、裁判で戦うための支援をしています。頂いた寄付はそれらの活動をするための資金として使っています。
裁判の結果がでるまで5年くらいかかるので、雇われながら裁判をするのはとても難しく、自分のお店を開いて自分や家族の生活を支えて行く必要があります。そのビジネスをサポートする資金としても使っています。また、裁判で戦うためには被害者が精神的に回復していることが重要ですから、定期的なカウンセリングの支援も行っています。

騙されて売られて、売春をさせられ、傷ついて・・・やっとの思いで村に帰ってきたのに、そこでは差別を受けて、引きこもってしまう子もいました。そんな子が、サポートを受けて少しづつ回復し、お店を出して、裁判で証言をして、だんだんと村のリーダーになっていく。寄付という支援に後押しされて、逆境に立ち向かい、再び立ち上る奇跡が実際に起きているのです。

 

活動内容についてお伺いして行くと、私達もぜひ会員になって支援をしたいと思う気持ちがわいて行きます。個人でも企業でも応援ができるそうなのですが、例えば企業で会員になった場合、会社にはどんなメリットがありますか?

 

法人の場合や経営者の方がかものはしプロジェクトに賛同してくださり支援していただくことが多いのと、社員の有志の方々からのご紹介で会社として支援していただくこともよくあります。

例えば就職したい会社を選ぶとき、その会社がどのような社会貢献をしているかどうかを見るのは大切な事だと思います。かものはしプロジェクトに賛同してくださっているという事が、その会社の社会貢献に対する姿勢や、メッセージになると思います。

また、法人の会社のなかで社員の方々へ向けた講演をさせて頂く機会もあります。講演を通じてご自分の業務へのやりがいを感じて下さったり、改めて会社への愛着を感じてくれる方も多いようでした。
このように法人での講演活動は社員教育の一貫としても非常に喜んで頂いていますね。

かものはしプロジェクトは”子どもの未来を守る活動”をしていますので、共感して頂ける経営者の方や社員の方とこれからも沢山出会えると信じています。
会社のパンフレットやwebsiteに、かものはしプロジェクトを支援しているということを明記することで、会社の信頼や支持が少しでも向上したら、それはとても嬉しいことです。

個人会員についてはいかがでしょうか?なにか自分にできることはないだろうかと、なかなか行動に移せないけれど、思っている方は多いと思うのです。

 

興味を持ってくれた方に、まずはインターネットで団体について調べて頂ければ嬉しいですね。そして自分に合った団体を見つけてほしいです。

考え方、支援の仕方、支援の先、色んな意義のある活動をしている団体がありますから、自分の考えやスタンスに合うかどうかがとても重要だと思います。そして資料請求をしたり、講演を聴きに行ったりする中で、自分にできる社会貢献について考える機会を持つ事が、実は一番大切だと思います。

“自分にできる社会貢献について考える機会を持つ事”
今回村田さんのお話を伺うことで、私にもその機会が訪れたように感じます。
インタビューをご覧のみなさんも、個人会員、法人会員についてご検討頂ければ幸いです。
村田さんありがとうございました!

かものはしプロジェクトさんのWEBサイト
http://www.kamonohashi-project.net/

 

 

2015-05-17 | Posted in blog, intaviwNo Comments »