ノマド・グローバルCEO桐山のコラム≪日本国債の格下げについて≫

≪日本国債の格下げについて≫
先日、米格付け会社ムーディーズが日本国債の格付けをAa3からA1に1段階(ノッチ)引下げました。これにより日本国債の格付けは「最上級」から4ノッチ下になって、
ジャンク債から6ノッチ上という微妙なポジションとなりました。
今回の日本国債の格下げは、ムーディーズからの事前アナウンスがなかったので、大変サプライズなものと成りました。格下げ発表直後にドル円は119円台に乗せ、120円を突き抜けました。この先も為替相場から目が離せない状況です。
国債の格下げは、国の信用力の低下を示すもので、教科書的には国債安(=金利上昇)・通貨安要因と考えることができます。 但し、過去の例をみると、必ずしもそうはなっていません。
直近の3度の格下げの例をみると、まず国債市場の反応そのものが非常に限定的なものでした。格下げ直後に金利が小幅上昇(=国債価格が下落)するケースはあったものの、その場合でも1週間程度後には金利は低下していました。相場材料などは様々でしょうが、敢えて格付けとの関係だけで事後的に解釈すれば、国の債務返済能力が疑問視されるような経済情勢(景気後退や景気低迷の長期化)においては、金融緩和などにより金利に低下圧力が加わりやすいということでしょう。
そして、ドル円相場については、発表直後こそ円安で反応するものの、翌日や1週間後には円高の動きがみられました。デフレの深刻化などリスクオフが意識されたのかもしれません。
さて、今回はどうでしょうか。格下げ直後に円安になったあと、すぐに切り返しており、初期反応はすでに終わったということかもしれません。日銀が大量に国債を購入している以上、今回も国債市場の反応は限定的だとの見方が有力です。実際、海外時間においても日本国債先物の価格は小幅下落(金利は上昇)したものの、すぐに落ち着きを取り戻しています。
もっとも、日本の財政状況が危機的であるという事実に間違いはありません。
格下げに対する反応が限定的なのも、過去の学習効果に過ぎないか、一民間会社の判断という以外に新たな材料がないからかもしれません。
「悪い金利上昇」「悪い円安」の芽は、常に存在しているということを頭の片隅に置いておくべきでしょう

2014-12-08 | Posted in blogNo Comments »