ノマド・グローバルCEO桐山のコラム【有効活用したい「孫贈与」】

相続の開始前3年以内に贈与された財産には、相続税が掛かることに成る。しかし合法的な抜け道もある。子供に贈与した分は課税対象であるが、孫や兄弟そして親戚など相続人以外への贈与は、一人当たり年間110万円までは原則 非課税のままである。最近では余命わずかな場合、孫への贈与を積極的に行う人が増えてきている。

可愛い孫への支援として教育資金の贈与がブームに成ってきた昨今、節税効果の高いことから、国内の金融機関は関連商品の販売にも力を入れている。信託協会の調査によると昨年末で、教育資金贈与の契約は、制度開始から1年9か月で約10万件(7000億円以上)にも上ると言われている。

30歳未満の孫や子供への教育資金を目的とした贈与は、一人に付き最大1500万円まで非課税として贈与が出来る。毎年110万円の贈与枠とは別に使える2015年末までの時限措置であったが、これが2019年末まで延長された。

教育資金の適用範囲は、入学金や授業料のほか、ピアノや英会話などの習い事も対象と成る。出費の都度、金融機関でお金を受け取る手続きが必要と成る。

但し、孫が30歳に達した時点で金融機関との信託契約は終了と成る。その時までに使い切れず口座に残ったお金については課税対象となり 贈与税が掛かってくる。このため上限の1500万円まで贈与せず、700万~800万円程度を信託する祖父母も少なくないそうである。結婚、出産、育児費用など子育てに係る資金の贈与も、1000万円まで非課税とする制度が出来た。

余命わずかな人であっても「一時払い終身保険」などに加入することには、それなりに一考の余地がある。普通は「もう年だから、持病があるから、手続きが面倒だから」など、高齢での保険加入を諦める人が多い現状だが、保険商品の中には90歳まで入れる保険や告知義務無しで入れる保険もあるので、間際の対策として使うことが出来る。

保険料全額を一括払いして、死亡保障が一生涯続く。 万が一 解約する場合には返戻金は一定期間が過ぎないと元本割れすることがあるので注意が必要である。

死亡保険金は基礎控除とは別に「法定相続人x500万円」分の非課税を控除できるため、同額の現金(キャッシュ)よりも節税効果が高く成る。

ただ、日本の歴史的な低金利で運用利回りの確保が難しくなり、一時払いの終身保険の販売を停止する保険会社も出てきているので、事前の確認は必要である。

一時払い終身保険に限らず、生命保険の死亡保障金は、法定相続人以外でも残したい人に確実に残せたり、現金で受け取れるため、納税資金が直ぐに調達できるメリットもある。(執筆者:桐山 一人)

2015-08-13 | Posted in blogNo Comments »