ノマド・グローバルCEO桐山のコラム【空き家を放置すると、どのような事態がおきるのか?】

深刻化する空き家問題

空き家問題は近年、益々深刻化しています。

もし、親の持ち家を相続するようなことになったならば、どうすればよいのだろうか。

昨今では、なんの手も打たずに、空き家をそのまま放置して、税金だけを支払っている人たちも少なくありません。

ご承知のとおり、空き家を放置していても何の得もありません

親の持ち家(実家)を相続した場合には、次の解決策があります。

「自分たち家族が住む」
「兄弟または子どもが住む」
「売却して現金を得る」
「賃貸に出して家賃収入を得る」など。

しかし現実問題として、

「実家が遠方に在り転居が不可能」
「家屋の老朽化が酷く、リフォームまたは建て替えをしないと、住むことも売ることも貸すことも出来ない」
「リフォームや建て替えをする予算がない」

などの事由により、空き家のままで、なにも手を付けれずに、放置せざるを得ないケースが多くあります。

一方で、空き家を取り壊して更地にするという選択肢もありますが、建物を壊して更地にすると、土地の固定資産税が6倍にも跳ね上がる事態になります。

近年、空き家がどんどん増えてくるという状況も解らないこともありません。

いずれにしましても、空き家を維持していても多額のお金がかかってくるということは周知の事実であり、頭の痛い問題ですね。

空き家を放置すると、どのような事態が想定されるのか

さて、そのような空き家を維持するにあたり、具体的にどのような支出(費用)が掛かってくるのでしょうか。

「固定資産税」
「住民税」
「火災保険」
「電気・ガス・水道代」
「町内会費」
「草刈り費用」
「実家まで足を運ぶ交通費」

など、多くの費用が掛かってきます。

それでは、空き家をメンテナンスせずに 知らぬ振りをして放置すると、どのような事態が想定されるのか検証してみましょう。

(1) 資産価値が下がる。

家は人が住んでいないと、劣化が猛スピードで進行してゆきます。

屋根から雨漏りがしたり、畳が腐ったり、害虫や白蟻の問題などもそうですが、あと雑草があちこちで生い茂っていきます。

早期の段階で修繕や建て替えを行った方が得策です。

(2) 不法投棄や火事の危険性が高くなる。

周囲に空き家だと知られたら、残念なことですが、そこに不法投棄をする人が出てくるでしょう。

更にはそこに燃えやすいものが放置されていると、火事や放火の可能性もぐっと高くなります

(3) 近隣住民とトラブルになる。

空き家にはネズミが住み着きやすくなります

また雑草が生い茂ってきますとヤブや蚊などの多くの虫も発生してきます。

当然ご近所の住宅にも被害がおよび、苦情が絶えなくなります。

また屋根瓦などが落下して、通行人に怪我でもさせたら、それこそ起訴になることすらあります。

結果

多額のお金が掛かってきます。

空き家を維持するにあたり税金や目に見えない費用が掛かってきます。

またご近所の住民とのトラブルに発展もしかねません。

更には家屋の倒壊などで他人に怪我でも負わせる状況になれば、裁判費用までもが掛かる可能性もあります。

資産価値が低下してしまった段階で家を取り壊すと、土地の売却価格よりも解体(取り壊し)費用の方が高くついたということもよく耳にする話です。

色々な家族の想い出がたくさん詰まった実家を取り壊したくないという方も居れば、面倒くさい問題には蓋をして放置している人も居ます。

早期解決・話し合いが大切です

しかし、どのような状況であろうと、空き家を放置するということは「百害あって一利なし」です。

実家など空き家になる前から、

「誰に相続してもらうのか」
「相続した後の有効活用または処分をどうするのか」

これらの問題は早いうちから家族全員で、専門家も交えて、きちんと話し合っておくべきです。

総住宅数、空き家数および空き家率の実績と予測結果

野村総合研究所(以下、野村総研)は、2018年、2023年、2028年、2033年における日本の総住宅数・空き家数・空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)の予測結果を発表しました。

それによると、住宅の除却・減築などが進まない場合、2033年の空き家数は約2,150万戸へ増加すると見込んでいます。

国土交通省の2014年度「住宅着工統計」によると、2014年度の新設住宅着工戸数は88万戸と、5年ぶりに減少に転じました。

野村総研の予測では、新設住宅着工戸数は2030年度までに53万戸に減少すると試算しています。

ただし新設住宅着工戸数が減少しても、それを上回る速さで世帯数の減少が見込まれるため、既存住宅の除却や住宅用途以外への有効活用が進まない場合、2033年の総住宅数は約7,100万戸へと増加し、空き家数は約2,150万戸、空き家率は30.2%に上昇すると予想しています。

2033年の空き家数と空き家率の予測数字は、ともに2013年の実績値(約820万戸、13.5%)の2倍以上に上る。

同社は、空き家数の拡大は住環境の悪化や行政コストの増大など、様々な問題が生じる可能性があると指摘しています。

その上で、増大を抑制するためには、人口減少対策や中古住宅流通市場の整備、コンパクトシティの実現などを進めていく必要があるとともに、住宅の新築に対して一定の制限をかけるといった住宅政策の検討も求められようとしている現況です。(執筆者:桐山 一人)

2016-05-16 | Posted in blogNo Comments »