マンションコミュニティ研究会代表 廣田信子さんの記事【一括受電切り替えで住民を追い詰めないで】

■ 一括受電切り替えで住民を追い詰めないで


こんにちは!廣田信子です。

電力の完全自由化を前に、
今週の「東洋経済」に私のコメントが掲載されたことから
マンションの一括受電に関するトラブル相談が
まだまだ来ます。

「東洋経済」の記事を読んで、
私の名前を頼りに連絡先を探してメールを送ってくる方は
そうとう追い詰められている様子です。

ということは、
それ以外にも困っている人はかなりいるんだろうと
改めて感じています。

で、もう一度、この問題について
書いておこうと思いました。

これまで、相談や質問が続いたテーマは、
きっと多くの人が知りたいことなのではないかということで、
できるだけ、情報を整理して、自分なりの考え方を
ブログに書くようにしています。

電力の自由化については、
過去に5本記事を書いています。

最近、質問のメールをくださる方は、
私の過去の関連ブログを読んでいない方がほとんどなので、
改めて、ここでまとめておくことにしました。

まず、「東洋経済」の記事は、
今年1月18日の「電力の完全自由化を前にして」というブログが
もとになっています。

→「電力の完全自由化を前にして」
http://ameblo.jp/nobuko-hirota/entry-12116648393.html

完全自由化になったら各住戸の契約がバラバラになり、
一括受電の実施が難しくなるから、
今のうちに何とか話をまとめたいという業者から、

判を押さないで裁判になったらあなたが負けますよと
迫られて困っているという相談を受けたものです。

この記事を読んだ「東洋経済」の記者の方から電話があったのですが、
聞かれたのは、
1月18日のブログにあるようなトラブルがたくさんあるんですか

で、私は、

「同じような相談が複数あったので、
困っている人が少なからずいるのではないかと思い
参考なればと書きましたが、
トラブルがどのくらいあるのかは把握していません」

と答えたのですが、

私がものすごくたくさんトラブルが発生している
言っているような内容の記事になっています。

で、問題なのは、ブログに書いた一番大事な部分、

承認の判を押さなかったからと言って、そのことだけで、
あなたが訴えられ責任を取らされるようなことにはないですよ

というところを記事に書いてくれていないのです。

いつものことですが、雑誌の記事は、
本当に困っている人には不完全な情報で、
不安を煽るだけになってしまっています。

で、私のところに、

「専有部分の電気ぐらい自分が好きなところから買いたいと
思うことは許されないのですか。」

「自由化の方向を見定めてから判断したいと思うことは
そんなに罪なのですか。」

「裁判に訴えられてしまうのというのは本当ですか。」

「判を押せと毎晩のように家に押しかけられて
おかしくなりそうです。」

といった話が来るのです。

こういったことに対する回答は、
だいたいブログに書いていますので、
必要な方は、ぜひ読んで下さい。

まず、昨年の8月13日、
電力自由化についてセミナー等で質問を受けるようになったので、
小売り電力の自由化と
専有部分の電気も含めて管理組合が一括受電を進めることの
関係について書きました。

→「マンションの一括受電と電力の完全自由」
http://ameblo.jp/nobuko-hirota/entry-12060556610.html

これに関連して、

数年前、一括受電の話が持ち上がった時に、
「私は、自由化したら、クリーンエネルギーを供給する電力会社から
電気を買うつもりなので、承認できまません。」
といって、管理組合で戦犯扱いされた方の話を書きました。

→「一括受電の反対者の理屈にも意味があった??」
http://ameblo.jp/nobuko-hirota/entry-12060557516.html

また、読者の中には、新電力会社を入れずに、
管理組合で設備投資して、一括受電にすればもっと経費節減できる
という方もいました。

で、その場合は検針も集金も管理組合が行うことになり、
電気料金の滞納問題はどうするのかという問題提起をしました。

→「管理組合による一括受電と滞納問題」
http://ameblo.jp/nobuko-hirota/entry-12063383182.html


電気をどこから買うかは自分で選択したいというのはわがままなの
について私の考え方を書きました。

→「個人のことは個人で選択したい」はわがまま?」
http://ameblo.jp/nobuko-hirota/entry-12063384721.html

で、先日2月9日に、
電力の自由化は本当によいことばかりなのだろうかという質問を受け、
先行した諸外国の状況について調べて書きました。

→「電力自由化はプラスに働くのかー諸外国の事情は?」
http://ameblo.jp/nobuko-hirota/theme-10095212578.html

電力の自由化が、
必ずしも電気料金の削減にはつながらないかもしれません。

共用部分の電気料金の削減には、
一括受電の方が上回ると言われます。

それでも、これだけ電力自由化に伴うサービスの
宣伝合戦がされている中で、

今後10~15年は、
専有部分に関しても電力会社を固定します。
管理費からの支出の削減になるのだから…協力して。

といって、ことを運ぶのは相当難しいと思います。

ましてや、居住者に精神的な苦痛を与えるやり方は、
たとえ、理事が直接関わらずに
新電力の営業の人がやっていたとしても、

ものすごく大きな禍根を
管理組合に残すことになると思います。

2016-02-29 | Posted in blogNo Comments »