株式会社オフィス オウさんの記事【週刊・中国情報:2015/09/07】

【週刊・中国情報:2015/09/07】

● 「微信(WeChat)」が、中国を変える!

「微信(WeChat)」の威力は、凄いものがあります。 中国人の「朋友圏(モーメンツ)」の中では、常日頃か らさまざまな商品やサービス・飲食店の評判などが飛び交っており、気に入ったサービス・商品・美味しか った店などを積極的に友人たちに紹介する。 その心理には次の3つの要素がある。

(1) 自分はこんな良いものを(人より先に)知っているのだという、鼻が高い気持ち。 (2) こんな良い体験は友人たちにも、味わってほしいという、友人を思う心。
(3) 頑張っている商品・サービス・店を、応援したいという、心情。

とにかく中国人は、自分が良い経験をすると、それを親しい人・仲の良い人と共有したいとの、気持ちが非常に強い人達である。 日本人にもそれはあるが、中国人の方が友人の範囲が広く、共有の程度が強い。良い経験を自分だけに留めておくことができず、皆なで分け合えばさらに楽しいと感じる。 そして情報の共有を受けた方も、聞き流さずにそれを正面から受け止めて「自分も試しに買って(行って) みよう」と、反応する傾向が強い。個人の商売が個人を媒介に拡散し、その商売を個人が代理店となってさらに拡大する。 商売は「微信」を舞台にして、ごく普通の市民の間でも「微信」上の個人ショップ「微店(YouShop)」を通じ た、小商売のネットワークは深く広がっている。 今、中国全土でこの様な個人による「小商売」の波が、猛 烈な勢いで広がっている。 メディアでは「国民総商売人の時代」といった文言が踊っている。 エアコンや冷蔵庫・電子レンジなどの大手メーカー“美的集団(ミデア・グループ)”は、今年初め、「美的パ ートナーズ」という制度を導入。 従業員に限らず一般の消費者でも参加が可能で、簡単な審査を通れば 「パートナー価格」で同社の商品を仕入れる事が出来て、やはり「微信(WeChat)」上に開いたショップで販 売できる。 手法次第では、一般のネットショップよりも低価格での販売も可能という。 また新たなパート ナーを勧誘するとボーナスが出る仕組みもある。 自社製品を販売する個人のネットショップを従業員が 開く事を、こうした大手企業が奨励するという仕組みは日本では中々考え難い事でしょう。 「微信(WeChat)」に代表されるような個人を軸にしたコミュニケーションツールとの親和性は、中国社会の 方が日本より圧倒的に高い。 「微信(WeChat)」は既に中国で6億人以上の加入者を持ち、電話やメール を超えて個人対個人の通信手段のスタンダードになった。 日本で言えば「LINE」とほぼ同様の仕組みで、 同じく「個対個」もしくは「個対多」を直接つなぐメディアだが、その社会への「棲み付き方」は日本とはだい ぶ違う。 「LINE」は日本では友人間などプライベートなコミュニケーションに用いられているのが主だが、 中国では仕事や商売とプライベートの区別がない。 自分と気の合う、利害の一致する個人どうしが組織 の枠に関係なく結びつき、「個」と「個」としてスクラムを組んで商売をする傾向が強い。 スマートフォン普及による「微信(WeChat)」の浸透は、携帯電話・電子メールに続く第三の波である。 これによって中国人の「個」と「個」のコミュニケーションの頻度と密度はさらに高くなり、個人が商売を始め る手間とリスクは劇的に軽くなった。 既に3000万軒の個人ショップがオープンしているという。 「微信(WeChat)」のユーザーは1990年代以降生まれが中心なので、今後、時の経過とともにユーザー が増加していくことは間違いない。 数万人にのぼる大手企業の社員が、自社製品を売る自分自身の店舗を開いているという事実は、この社 会での「モノの売り方」が大きく変化していることを示している。 極端なことを言えば、販売部門の社員は 全員が自営業。 メーカーは造るだけで、後は誰が、何処で売ろうと自由。 売ってくれた人にはマージン を支払う。 商品を販売するための特定の組織もなく、マスを相手にした広告宣伝も無い。 個人と個人を 繋ぐネットワークと評判だけで商品が売れていく。 そんな仕組みが、在り得るかも知れない。 強いネットワークを持つ個人同志が協力し、互いに資源を共有しながら、お互いの商品を互いのネットワ ークで売り合う。 「微店(WeChat)」的な「小商売」のシステムは、紆余曲折はありながらも中国人の人生に不可欠のプラット フォームとして機能していくだろうと考えます。 個の力を自ら「偉ぶり」生きていく「しぶとさ」こそが、中国社会の強みであり、中国人の魅力でしょうか! これからの日本人が世界の荒波の中で生きていく為には、吸収することが必要とも感じます。

2015-09-11 | Posted in blogNo Comments »