CEO桐山のコラム【マイナンバー制度により少額の税逃れもNGに ここまで透明化する】

サラリーマンにはメリット、自営業者は頭抱える人も

 

10月に入って、マイナンバー通知カードの郵送が順次開始されています。既に通知カードを受領された方も僅かながらおられるのかも知れません。遅くとも年内には日本国民の全員が受け取ることに成っています。

今回の本制度は、サラリーマンの皆さんにとっては、メリットがあるのではないでしょうか。

本来、課税されるべき所得の捕捉率は、給与所得が100%であるのに対して、自営業者は50%、農林水産業者は30%、政治家は10%とされていることから(10・5・3・1)トーゴーサンピンとも呼ばれています。そのようなサラリーマンから見た「課税格差」が縮小(是正)される可能性が高まります

あなたが把握していない収入も把握される

 

従来は様々な経費などの計上が許されていて所得が捕捉されにくかった自営業者の中には、頭を抱えている人たちも少なくないでしょう。預金口座が捕捉されるなど入出金(お金の流れ)が透明化することにより、確定申告などを所得でごまかそうとしても、すぐに見破られてしまいます

親からの贈与に於いても、贈与税の年間の非課税率は110万円以下で、それより多い金額の贈与を受ける場合には課税対象と成りますが、それを知らずにこれまで申告してこなかった人も多く居ることかと思います。或いはアルバイトなどの副業、本業以外の雑所得は年間20万円以下なら確定申告は不要ですが、それを超える収入があるようなら、きちんと申告する必要があります。

配偶者の収入についても、これまでかなり意識されてきた方は多いと思います。しかし子供のアルバイト収入まで意識されてきた方は少ないのではないでしょうか。また子供によっては親に内緒でアルバイトをしているというケースも珍しくありません。今後、貴方が把握出来ていない収入がある可能性も無きにしも非ずですね。

そして、株式投資やFX投資でも、源泉徴収される特定口座で取引していれば問題ありませんが、源泉徴収しない口座で取引をしている場合は、確定申告が必要です。今までは、手間を惜しんで申告しない人も中には大勢居たと思いますが、それも今後は全てNGと成ります。

マイナンバーについては勤務先に知らせることに成っていて、その番号に紐付けされた収入は、ほぼ確実に捕捉されることに成り、勤務先にも発覚してしまうと考えられます。

これまでは、こうした少額の税金逃れは摘発する税務当局のコストや労力と照らし合わせて、見過ごされてきた一面もありますが、それらの案件はマイナンバーによってコストや余分な労力を掛けずに捕捉することが可能に成る訳です。「知らなかったから・バレないと思ったから」という考えは、今後まかり通らなく成ります

民間企業への負担は大きい

 

現在、各行政機関は日々対応に追われていることでしょうが、民間企業もてんてこ舞いの状況だと思います。当然のことですが、セキュリティを含めて膨大な新たなシステムが必要に成る訳ですから、システム業界などは、かつてないほどの特需に沸いていることでしょう。

一方では、莫大な顧客から番号を集めなくてはならない金融業界やパートなどの多い小売業や外食業界などからは「手間だけ掛かって割に合わない」といった悲鳴も聞こえてきます。

はたして、そのような壮大な仕組みやシステム変更によって、日本の社会や我々の暮らしはどのように変化するのでしょうか。次回はそのあたりに焦点を当てて、考えてみたいと思います。(執筆者:桐山 一人)

2015-10-22 | Posted in blogNo Comments »