ノマド・グローバルCEO桐山のコラム「マイナンバー制度」スタート いったい何が変わるのか?
この10月から、いよいよ「マイナンバー」の通知が始まります。そして来年1月からは、申請者に対して「個人番号カード」が発行され、各行政機関で税金や社会保障の手続きなど様々な行政手続きをする際にこの番号が必要と成ります。
マイナンバー制度は、行政を効率化して、国民の便宜性を高めて、公正・公平な社会を創るための社会基盤の要と位置づけされている。国民の一人ひとりに12桁の背番号が振り分けられ市区町村から通知される。また住民票を有する中長期の在留者や永住者等の外国籍の方にも同様に番号が指定・通知される。
これまでの煩雑な手続きが簡素化されるという点に於いては喜ばしい反面、将来的には預貯金口座に紐付けされる可能性もあり、個人資産が丸裸にされることを懸念する声も実際にあがっている。はたして、マイナンバー導入で具体的に何が変わるのか。そして誰が得をして誰が損をするのか。新制度の導入による大きな転換について検証したいと思う。
「マイナンバー制度」で何が変わるのか?
今後は、健康保険や年金などの社会保障に関わる手続きの際に住民票などの添付書類の提出が無くなるほか、住民税や所得税の申告、災害時の被災者台帳の作成などの手続きが簡素化される。そして、このような行政手続きだけでなく、民間企業にも13桁の法人番号が指定され国税庁から通知される。
ちなみに法人番号は個人番号とは扱いが異なり、原則として公表され、誰でも自由に利用することが出来る。これにより、就職や退職をする時や年末調整など、民間企業もこれからは番号の記載が必要と成る。
各企業がマイナンバーを利用することにより、今までは引っ越しの際に、電気・ガス・水道などの変更手続きを個々にしなければならなかった各種手続きが一度の手続きで全て済んでしまうという利便性も生まれる。
さらに個人も法人も、取引先の金融機関などでもマイナンバーが必要と成る。証券会社の口座や銀行の口座、積立・年金型保険や死亡保険の契約や100万円以上の国内での入金、海外送金などの情報も紐付けされることに成るであろう。
将来的には銀行の預金口座も紐付けされる予定で、最終的には預金口座に留まらず、不動産や自動車などの固定資産にも紐付されることが検討されている。
一部の資産家の人たちにとっては「個人情報が丸裸にされる」と危惧する声も高まりそうだが、政府にとってはこの制度は大きなメリットに成る。
預金口座が紐付けされれば、政府にとっては不透明なお金の流れを解明しやすくなり、税金や社会保障の保険料などの取りっぱぐれが無くなり、また生活保護の不正受給や税金逃れといった「ズル」を撲滅できる。
そのような状況下において、最近ではマイナンバー対策として将来の預金口座の紐付け状態を見越して「タンス預金」をしたり、現物資産の「金」を購入したり、さらには海外の不動産を取得するお金持ちの人たちも増えてきている。当分は政府と一部の資産家の間で色々な攻防戦(いたちごっこ)が続くのであろう。
《マイナンバー導入までの予定スケジュール》
2) 2016年1月:申請者に個人番号カードを交付 ・ 社会保障、税金、災害対策でマイナンバーの利用開始 ・健康保険証、各種資格証明書の一体化 ・証券口座、投資信託口座、積立金、年金型保険、100万円以上の国内入金、海外送金の紐付け
3) 2017年1月:行政機関の間で情報連携を開始・確定申告、源泉徴収票、特定口座年間取引報告書などで利用開始・マイナポータルの運用開始
4) 2018年1月:改正法案が通れば、銀行の預金口座の紐付け開始
次回も引き続き、今後マイナンバー制度が及ぼす影響と政府の目論みを検証したいと思います。(執筆者:桐山 一人)