JNTO香港事務所 所長 山田 洋成さんの記事【熟度の高い香港の訪日旅行市場 オールジャパンで誘客を促進】

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JNTOは「独立行政法人国際観光振興機構」、通称は日本政府観光局、業務としては訪日旅行の宣伝、調査研究などを行っている。JNTO香港事務所では、『RAIL&DRIVE』などオリジナルなプロモーションを展開し、訪日観光客の増加に向けて取り組んでいる。そんなJNTO香港事務所の山田氏に、香港の訪日観光客の今後の展望、盛り上がりを見せる訪日促進ビジネスへのサポートなどについて聞いた。

  • Japan National Tourism Organization (JNTO) Hong Kong Office
  • 住所 / Unit 807-809, 8/F, Prosperity Millenia Plaza, 663 King’s Road, North Point, Hong Kong
  • TEL / +852-2968-5688   FAX / +852-2968-1722
  • URL / www.welcome2japan.hk

 

■成熟度が高い香港市場での、訪日促進の取り組み

山田氏は1992年から1997年の5年間、2006年から2010年までの4年間の計9年間、JNTOバンンコク事務所勤務を経て、2014年11月よりJNTO香港事務所へ赴任。タイでの勤務時代は、政情不安やクーデター、そして空港閉鎖なども経験しながら、訪日旅行のマーケットとして成長途上にあったタイ市場において、訪日観光客の増加に腐心してきた。

一方、香港は訪日旅行の市場として、非常に成熟度が高い。具体的な例でみると、訪日観光客の実に8割以上がリピーターで、加えて10回以上訪問した人の割合も観光目的の訪日旅行者全体の2割に上る。他国の状況と比較してみても、抜きん出て高い数値となっている。また、団体旅行の割合は全体の2割に過ぎず、残り8割はFITと呼ばれる個人旅行者である。東京や北海道など従来の定番観光地だけでは飽き足りない香港人に対し、新しい旅行地や体験などディープな情報提供が求められている。

このような成熟した市場であるがゆえ、JNTO香港事務所では明確なテーマを設定し、中期的な視点で訪日旅行の促進に取り組んでいる。具体的には、鉄道旅行およびドライブ旅行のプロモーション、『RAIL&DRIVE』を2012年度から実施。「鉄道やレンタカーを利用し、行ったことのない地域への旅行、日本ならではの体験をしてみませんか」、というPRをここ数年間一貫して取り組んでいる。また、訪日ウェディングの需要にも注目し、香港で開催される国際旅行博やウェディングエクスポなどへも出展し、今後積極的にプロモーションを行っていく。

■オールジャパンで訪日旅行をプロモーション

訪日促進の一環として、訪日旅行を扱う旅行会社に対して、共同広告出稿などにより販売促進のサポートも行っている。旅行会社を日本の観光地への視察に招請し、日本側の関係者との商談の場を設け、新しいツアーの造成を支援している。各自治体に対しては、香港国際旅行博(ITE)など旅行フェアに一緒に出展し、オールジャパンでの情報発信に取り組んでいる。また、各都道府県や在香港の自治体事務所と連携し、特定の目的地(デスティネーション)に焦点を当てたプロモーションにも取り組んでいる。2015年度は、重点デスティネーションとして四国、北陸/中部にフォーカスし、両地域の魅力をアピールする取り組みを進めている。さらに、テレビや旅行雑誌などのメディアから個別取材の引き合いがあれば、国内の自治体へ橋渡しするなど、コーディネーターとしての役割も担っている。

■今年中に訪日香港人旅行者100万人台到達を目指す

訪日香港人旅行者数は、2010年の約50万人から昨年は約92万人と順調に推移。今年は100万人台への到達が現実的に視野に入り、5年前に比べほぼ倍増となる見込みだ。従来から日本旅行の人気が高い中、最近では円安や航空座席供給量増加を追い風に、ショッピングを目的とする訪日旅行の意欲が旺盛になっている。香港人客の日本産ウィスキーの「爆買い」などが報道されているように、食品等の購入を目的とした旅行も目立ってきている。

ありがたいことに、訪日観光客数増加に伴い、このように訪日促進ビジネスも伸びてきている。しかし、この数字がどこまで右肩上がりになるか、必ずしも楽観視はできない。香港市場の特性として、日本に乗り入れている定期直行便路線数が上海や台北と比べて圧倒的に少ない。現在、7都市8空港のみで、成熟した市場で地方都市訪問のニーズが高いにも関わらず、そこへリーチすることは容易ではない。定期直行便の少なさを補う形で、西日本を中心にチャーター便が運航されてはいるが、まだまだ少ない状況だ。また、香港に限ったことではないが、日本国内の宿泊施設、バスなどの輸送手段、空港のキャパシティーなど、国内の受入体制の問題も深刻になってきている。

訪日香港人旅行者数は、今年2月、3月と2か月連続して単月として過去最高を記録し、累計で約31万人(対前年同期比63%増)と好調に推移している。今までは夏休み期間が旅行の最大のピークだったが、今はピークシーズンとオフシーズンの違いが明確でなくなりつつある。決して楽観視はできないが、こういった状況を踏まえ、まずは着実に100万人台到達を目指していく。また、観光先として競合デスティネーションである台湾が年間140万人程度の香港人を受け入れており、このあたりがベンチマークになるとみている。

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2015-07-02 | Posted in blogNo Comments »